web太陽では、最新カルチャーやアートの情報に加えて、現在、ビジネスの最前線で活躍する、注目の「イノベーター」をフィーチャーします。感性と知性を武器に、軽やかにアートとビジネスの世界を「刷新」する、クリエーターたちの言葉を届けていきます。
今回ご登場いただく小沼敏郎さんは、作家、作詞家、演出家、CMディレクター、デザイナーといった多方面でクリエイティブを手掛けながら、
企業経営アドバイザリー、新規事業創出・オープンイノベーションの戦略パートナー、ベンチャー経営への参画などビジネス面でも活躍を続ける新進気鋭のマルチクリエーターです。(末尾プロフィール参照)
今回から6回の集中連載で小沼敏郎さんのクリエイティビティをご紹介いたします。
第一回:アイデアに関係ない人なんていない
あなたはもうアイデアを持っている
本連載を通じて、僕が読者の皆さんに伝えたいことは実にシンプルだ。
それは、あなたはもうアイデアを持っているということ。
みんな、アイデアを誤解している。アイデアというものについての大げさな思い込みを捨ててほしい。あなたはもうアイデアを持っているのだ。だけど、それに気が付いていないか、あきらめて見てみぬふりをしているだけ。自分がすでに素晴らしいアイデアを持っていることに気づき、認め、それを育てて、自分なりの成功を手にしてほしい。
アイデアに特別な才能はいらない
誰かと比較し、自分はアイデアが貧弱であるなどと勝手に決めつけ、自己肯定感を低くするのはやめよう。自分で、豊かな人生へのハードルを上げるのをやめよう。
アイデアって、全然たいしたことじゃない。特別な才能なんていらない。すでに、あなたのなかにたくさんのアイデアは存在している。存在しているけれど、育て方を知らないから、それを花開かせることができないだけだ。
アイデアに関係ない人なんていない
世界はアイデアでできている。いまあなたの身の回りのすべては、だれかのアイデアでできている。ものだけじゃない、発想や考えなど、あなたはこれからやることなすことすべては大げさに言えばアイデアである。だから、アイデアと仲良くなれば、仕事でも人生でもプラスになるに決まっている。自分で考えたことを、育て、自らの意思で現実を動かしていくこと。それは自分で、自分の人生を歩くことに他ならない。
魔法の正体
こんなことを自信を持って言えるのは、僕自身がごく平凡なアイデアを育てることで、たくさんのビジネスを動かしてきたからだ。僕は、世界を股にかける大手企業から、ベンチャー企業、大学、官公庁、法律事務所まで、硬軟入り交じったまったく畑の違う分野に携わっている。そこでやっていることは、トータルプロデュース、ブランド構築、イベント演出、ロゴデザイン、CMやムービーの制作、クリエイティブディレクション、M&A、経営マネジメント、戦略アドバイザリーなどだ。なぜか、絵本を出版したことも、歌詞を書いたこともある。
だから、ときどき魔法使いのように言われる。「どうしてそんなにいろいろなことができるんですか」と。
もちろん、僕は魔法使いなんかじゃない。
もし魔法に見えるものがあるとしたら、その正体は、アイデアだ。さらに言えば、誰でも思いつくような平凡なアイデアを誰よりも丁寧に育てるしつこさだ。僕はそれを愚直にやることで、ビジネスやクリエイティブを動かしてきた。そして、それはあなたも充分に持ち得るものだ。
アイデアの可能性は無限大
僕のアイデアを実現する場には、たいていたくさんの人が関わっている。たとえば、ビッグイベントの総合演出を担ったときは、関係者だけで数千人が動いてくれた。インターネット経由で世界同時開催したから、観客に至っては億単位に及んだと思う。でも、そのアイデアを提案したのは、僕という小さな一人の人間だ。
ここが、アイデアの面白いところだ。バックグラウンドの大小など関係なく、アイデアさえあれば誰でも世界を変えられる。変える世界も、自由にさまざま選べる。とくに、ネット環境が整った現代においては、どこにいてもそれが可能なのだ。
世界を変えるアイデア=平凡なアイデア
強調しておくが、世界を変えていくアイデアとは、本当にたいしたものじゃない。すでに、あなたが考えたことがあるものと同レベルだ。
考えてもみてほしい。アマゾンのように「ウェブでものを売れたら便利だな」ということは、おそらく地球上で一億人くらいが思っていたはずだ。それは、ジェフ・ベゾスだけのひらめきではない。
ただ、彼は誰よりも丁寧にそのアイデアを育ててきた。多くの人が持っているのと同じアイデアに、水をやり続けてきたから花開いたのだ。アイデアとはそういうものだ。
むしろ平凡で普遍的なアイデアだからこそ、多くの人が必要とするアイデアなのだ。突飛な発想より、ひらめきとしては平凡なアイデアを、いかに育てるかが肝なのだ。
アイデアの育て方
僕自身の経験も踏まえ、ここで繰り返しておきたい。アイデアで成功するのに、特別な才能などいらない。あなたが知るべきは、ひらめきの方法ではなく、アイデアを育てる作業である。
本連載【『アイデアの育て方』-Classroom】では「アイデアの育て方」を様々な角度から皆さんに伝えていく。クリエイター・アーティスト・経営者の方々との対談からアイデアを育てる現場やメソッドを学んだり、著者(小沼敏郎)なりのアイデアを育てるポイントを解説したり、具体例を使って一緒に考えていけるような連載にしていくつもりだ。
日本人は、本来「丁寧に育てる」ことが得意なはずで、アイデア上手な国民だと僕は思っている。それなのに、自ら扉を閉ざしてしまうのはもったいない。イノベーションが苦手で日本は後れを取っているなどという、ネガティブな刷り込みから自由になろう。あなた一人の小さなアイデアから、世の中は大きく変わるのだ。
※次回配信は1月27日になります。
著者は閃くアイデアを求めるよりも、大切なのは平凡なアイデアをじっくりと時間をかけて育てていくことだと説く。 年齢、経験、才能は関係ない。小さなノートとペンと、あなたの頭があればいい。 これからのあなたの生き方を変える一冊。
小沼敏郎 Toshiro Konuma
マルチクリエイター / ビジネスプロデューサー / 実業家 / 作家
<著書>
『アイデアの育て方』東急エージェンシー、2022年
『おにぎりはどこからきた?』東急エージェンシー、2019年
『モクモクはどこからきた?』オンライン絵本(&紙芝居化)一般社団法人 全国木材組合連合会
<掲載>
『For Inspiration -インスピレーションの正体』別冊太陽
『おにぎりのルーツから世界のつながりについて問いなおす絵本』好書好日
『理想のゴールまで、経営者は事業にどう関わるべきかミクシィ流・新規事業の成功法則』ダイヤモンド・オンライン
『企業にとってSDGsは、競争優位性に寄与するキーワード』講談社SDGs
<主な経歴>
Konuma & Co., Ltd. CEO
HIS Co., Ltd. Executive Producer, 戦略顧問
POLA R&M 特別顧問
TOKYO MIDTOWN HIBIYA BASEQ Business Developer
SAKURA法律事務所 Management Director
EY Japan Well-being Initiative Adviser , Creative Director
株式会社電通 新規事業創出 Mentor
三井不動産株式会社 新規事業提案制度Mag!c Advisor
ソニーミュージックグループ アクセラレーションプログラム「ENTX」 Mentor
WIRED / WIRED REAL WORLD Marketing Advisor
株式会社スコラ・コンサルト Partner
<主な実績>
AWS (Amazon Web Service) Summit 2019 のオープニングアクト 総合演出・シナリオライト
株式会社エイチ・アイ・エスのコーポレイトロゴデザイン(2019‐2022)
株式会社エイチ・アイ・エスのコーポレイトロゴデザイン(2022‐)
株式会社エイチ・アイ・エス のパーパス(HIS Group Purpose)「心躍る(ココロオドル)を解き放つ」考案
株式会社エイチ・アイ・エスのバリュー(HIS Group Value)「冒険と挑戦」「スピードとアジリティ」「バランスと倫理観」コピーライティング
H.I.S.Mobile株式会社コーポレイトロゴデザイン
株式会社明光ネットワークジャパン パーパス・タグライン「やればできるの記憶をつくる。」考案
株式会社明光ネットワークジャパン ビジョン「“Bright Light for the Future” 人の可能性をひらく企業グループとなり輝く未来を実現する」コピーライティング
株式会社明光ネットワークジャパン バリュー「隣に立つ」「繋ぐ」「自分にYES」コピーライティング
株式会社明光ネットワークジャパン CM制作(yesシリーズ / Executive Creative Director)
個別指導の明光義塾オリジナルソング「yes」作詞
ハウス食品 カモンハウス こども新聞記者プロジェクト 監修
TOKYO MIDTOWN HIBIYA BASEQ主催 QSchool「オリジナリティからはじめる新規事業」講師(2018‐)
Tech Open Air* 2018(TOA)World Tour TOKYO Blockchain 2.0 登壇
POLA R&M me-fullnessプロジェクト ロゴデザイン、ネーミング開発
株式会社オリエンタルランド 未来創造プロジェクト ゲスト講師
Tokyu Agency 2U Academy 「アイデアの育て方 / 仕事の育て方 / 自分の育て方」ゲスト講師