オペラは『トスカ』、バレエは『心の叫び』で新シーズンをスタート
世界屈指のオペラハウス、「パリ・オペラ座」。2022/2023シーズンは、9月にスタート。オペラは、3日、オペラ芸術監督のグスタヴォ・ドゥダメルの指揮でジャコモ・プッチーニ『トスカ』で幕開け。バレエは、20日、アラン・ルシアン・オイエン振付『心の叫び』で幕を開けた。
『心の叫び』というコンテンポラリー作品に続いて10〜11月に上演された、サー・ケネス・マクミラン振付『うたかたの恋(マイヤーリング)』は、今シーズンきっての注目公演。
トップ画面: 『うたかたの恋』 ユーゴ・マルシャン(ルドルフ皇太子)とドロテ・ジルベール(マリア・ヴェッツェラ) 🄫Ann Ray / Opéra national de Paris
バレエ部門はコンテンポラリー作品『心の叫び』で開幕 ©Agathe Poupeney / Opéra national de Paris
巨匠マクミランの傑作 『うたかたの恋』に話題集中!
『うたかたの恋』は、英国ロイヤル・バレエ団に、1978年、マクミランが振り付けた作品。ドラマティックな史実をもとに、演劇的要素をふんだんに取り入れたマクミランの真骨頂とも言える本作は、今回が「パリ・オペラ座バレエ」初上演。巨匠の大作がついにパリの舞台に乗る、と、大きな注目を集めていた。
🄫Ann Ray / Opéra national de Paris
バレエでは珍しい、男性が主役の作品。主人公のオーストリア=ハンガリー帝国皇太子ルドルフは、あらゆるバレエ作品の中で、最も難しい男性の役とされている。
初日、ルドルフを演じたのは、エトワールのユーゴ・マルシャン。高い技術力、とりわけポルテ(女性のリフト)は抜群の安定感を持つ。本作は、6人の異なる女性パートナーと踊り、非常に難しくアクロバティック的なポルテが続く振り付け。複雑な動きの連続の中で女性をナチュラルに美しく見せつつ、自身も美しい動きを披露した。ただし、この作品に必要不可欠な演技力は、少々物足りない気も。心中相手のマリー・ヴェッツェラは、ドロテ・ジルベール。ユーゴと組むことが多く相性のよい組み合わせ。経験豊富なエトワールで技術も演技も高いレベルを保ち、作品の物語性をリードした。
全4配役が組まれた中、第 2 配役は、マチュー・ガニオとリュドミラ・パリエロで、こちらもエトワールコンビ。マチューは、ポルテ系の技術は多少ぶれがあったものの、演技、特に表情の演技力が見事。〈演劇的バレエ〉というよりも〈バレエ的演劇〉に近い本作品のドラマティックな魅力を捉えていた。
バレエ団の芸術監督に元エトワール ジョゼ・マルティネスが就任
『うたかたの恋』が上演される中、10月28日、オレリー・デュポンの辞任で空席になっていたパリ・オペラ座のバレエ芸術監督に、ジョゼ・マルティネスの就任が発表された。ジョゼは、オペラ座バレエでエトワールとして長年活躍していたダンサー。彼の就任で、パリ・オペラ座バレエ団の新黄金期が期待される。
パリ・オペラ座公式サイト:https://www.operadeparis.fr