パリ・オペラ座バレエ、ヌレエフ版『ロメオとジュリエット』。ルドルフ・ヌレエフはこの世界屈指のバレエカンパニーのトップダンサー兼監督を務め、振付家としても活躍した。『ドン・キホーテ』『ライモンダ』『白鳥の湖』『くるみ割り人形』『シンデレラ』『眠れる森の美女』、そして遺作となった『ラ・バヤデール』。これらヌレエフが振り付けた作品は、誕生した1981〜92年以来、パリ・オペラ座バレエの重要なレパートリーとして数年ごとに再演されている。



ヌレエフ版『ラ・バヤデール』(6月7月公演)にムーセーニュはガムザッティ役に抜擢(写真はレオノール・ボーラック)©Svetlana Loboff / Opéra national de Paris
ヌレエフ版『ドン・キホーテ』ドロテ・ジルベール、カール・パケット©Julien Benhamou / Opéra national de Paris
初役12人で5年ぶりの再演!
『ロメオとジュリエット』は1984年の作品で、これまでに170回以上の公演が行われた。
2026年4月〜5月、約5年ぶりに再演。21公演が上演され、ロメオ、ジュリエットともに8人が配役され、それぞれ6人が初役。ヌレエフ作品は、高度な技術重視のものが多いイメージがあるが、『ロメオとジュリエット』はシェイクスピアならではのドラマティックで悲劇的な物語性が強いバレエで、ジュリエットは特に、技術と同じレベルで高い演技力も要求される。配役ごとに、自分たちならではの世界観を作り上げるので、見比べると興味深い。


初日は、セウン・パクとポール・マルクのエトワールコンビ。相性のよいパートナーシップで、今やパリ・オペラ座を代表するエトワールコンビだ。パクのジュリエットは、軽やかでリズム感がよく、流れるような動きが目に心地よい。登場シーンからラストまで、多彩な感情をきめ細やかにたたえた表情演技も説得力がある。5年前にはなかった円熟が宿り、大きな感動を観客に与えた。マルクもパク同様の高い技術で、このカンパニーらしいエレガンスを備えた高レベルの踊りで、初日にふさわしい舞台を二人で披露した。

一夜だけ配役されたクララ・ムーセーニュとアントワーヌ・キルシャーは、プルミエ・ダンスールコンビ。ムーセーニュは、2020年の入団当初から将来のエトワール候補と目されている、極めて高い技術力を持つ実力派若手。安定感ある踊りに抜群の美しさを備えた腕の魅力も加わり、観客を魅了。キルシャーと共に感情豊かに初々しい恋人たちの悲恋を紡いだ。


〈インタビュー〉ムーセーニュがジュリエットを語る
稽古は、1月中旬に始まりました。ジュリエットに配役されたダンサー全員に、エリザベート・モランから振り移し。2月からはそれぞれのチームに専任のコーチが付き、私たちは、フロランス・クレールが指導。二人とも生前のヌレエフと一緒に踊っていたエトワール。彼女たちに教えてもらえたのは価値が測れないほど貴重な経験です。
フロランスがアドバイスしてくれたのは、踊りの自然な動き。特に腕や手の表現を入念に指導してくれ、上半身の芸術性について多くを学びました。彼女自身が持っているジュリエットのイメージを、より私に相応しくアレンジしてくれたジュリエット像。誰もが抗えない魅力を持ち家族や乳母の愛情を一身に受けていた愛くるしい子供、ロミオと出会い愛を知った女性、結婚を強要され家族からも乳母からも見放された絶望や悲しみ……。三幕に及ぶ長い作品を通して、ジュリエットは様々な感情を持ちます。それを、踊りと顔の表情で丁寧に表現するのが大切です。俳優的要素が多い主役は今回が初めて。3か月にわたる稽古も一度だけの舞台も、とても楽しく充実した時間を過ごせました。ジュリエットを踊ることで、私自身の新たな面を知れたように思います。


ヌレエフ版『ラ・バヤデール』でガムザッティに挑戦
若いときにこの役を踊れたのは、ダンサーのキャリアにとっても自分自身の成長にとってもとても大きなことでした。何年後かに再びジュリエットを踊るとき、今回の稽古と舞台で得た経験は大きく生きてくるでしょう。
夏には同じヌレエフの『ラ・バヤデール』で、ガムザッティを踊ります。この役も、実は演技も大切な要素。昨日稽古が始まったばかりですが、本番が楽しみです。
舞台で踊ることが心から好き。私のバレエを見て、観客の皆さんに喜びや感動を感じてほしいと、いつも願っています。




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