世界のトップダンサーが集結!「Ballet Muses -バレエの美神2023-」

カルチャー|2023.12.20
文=小野寺悦子(編集・ライター) 撮影=瀬戸秀美 写真提供=光藍社(KORANSHA)

世界の名門バレエ団からトップダンサーが集うガラ公演「Ballet Muses -バレエの美神2023-」。2年ぶりの開催となる今年、新進気鋭のスターから世界のプリマまで錚々たる顔ぶれが揃い、豪華競演を繰り広げた。

『ジゼル』よりパ・ド・ドゥ
永久メイ

永久メイがみせたロシアバレエの真髄

 今年は世界の名門バレエ団から計11名のスターダンサーが集結。なかでも注目を集めたのが永久メイだ。ロシアの最高峰マリインスキー・バレエの主役に17歳の若さで抜擢され、2021年にはファースト・ソリストに昇格。また今年はバレエ界のアカデミー賞と称されるブノワ賞にノミネートされ、日本でも大きな話題を呼んだ。

『ロミオとジュリエット』より パ・ド・ドゥ
永久メイ、フィリップ・スチョーピン

 Aプログラムでは、『ロミオとジュリエット』よりパ・ド・ドゥ、『ジゼル』よりパ・ド・ドゥの2作に出演。『ロミオとジュリエット』では恋する少女ジュリエットをしなやかな上体で饒舌にあらわし、磨き抜かれたアラベスクで魅了する。『ジゼル』もまた彼女に似合いの演目で、繊細かつ儚げで透明感が際立つ。パートナーはやはりマリインスキー・バレエ ファースト・ソリストのフィリップ・スチョーピンで、端正な両者の踊りで優美なロシアバレエの真髄を伝えた。

『眠りの森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ(Bプログラムより)
永久メイ、フィリップ・スチョーピン

コジョカル&ムンタギロフの完成された作品世界

 急遽参加が決まったアリーナ・コジョカルの登場もバレエファンを歓喜させた。Aプログラムでは『眠りの森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥに出演。熟練のプリマとなった今なお、持ち前の可憐な魅力は変わらぬまま。王子に寄り添う姿はどこまでも愛らしく、同時に盤石のテクニックで圧倒的な存在感をみせつける。パートナーは英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのワディム・ムンタギロフ。ダンスール・ノーブルらしい気品に満ちたサポートで、格式溢れる古典の世界を見事に描き出した。

『眠りの森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル、ワディム・ムンタギロフ
『ジュエルズ』より“ダイヤモンド”(Bプログラムより)
アリーナ・コジョカル、ヤコブ・フェイフェルリック
『マノン』第1幕より寝室のパ・ド・ドゥ(Bプログラムより)
アリーナ・コジョカル、ワディム・ムンタギロフ

贅を尽くしたプログラムで華やかに

 チューリッヒ・バレエ ファースト・ソリストの吉山シャール ルイ・アンドレは『PIEL』と『Ghost Light』で得意のコンテンポラリーを披露。『Ghost Light』は2018年に彼のために振付けられた作品で、灯りに照らされ一人踊る姿が切なくも力強い。

『Ghost Light』 吉山シャール ルイ・アンドレ
『PIEL』 吉山シャール ルイ・アンドレ

 そのほかノルウェー国立バレエ プリンシパルのザンダー・パリッシュが踊ったユーモラスな『バレエ101』に、ボリショイ・バレエ プリンシパルのアリョーナ・コワリョーワが凜とした佇まいで制した『瀕死の白鳥』、ミハイロフスキー劇場バレエ プリンシパルのアンジェリーナ・ヴォロンツォーワとファースト・ソリストのエルネスト・ラティポフが強靱なリフトで目を奪った『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥに至るまで、大充実のプログラム。会場は大いに盛り上がり、豪華ガラは華やかに幕を閉じた。

『バレエ101』 ザンダー・パリッシュ
『瀕死の白鳥』 アリョーナ・コワリョーワ
『こうもり』第1幕よりヴァリエーション ヤコブ・フェイフェルリック
『ドン・キホーテ』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ、エルネスト・ラティポフ

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