photo by Akihito Abe

勅使川原三郎 新作公演 「ランボー詩集
–地獄の季節からイリュミナシオンへー」

アート|2023.7.12
web太陽編集部

 ヴェネツィア・ビエンナーレダンツァにて日本人として初めて金獅子功労賞を受賞し、国内では現代舞踊分野で初となる文化功労者に選出された勅使川原三郎によるダンス最新作 「ランボー詩集─地獄の季節からイリュミナシオンへ─」が、 東京芸術劇場の芸劇danceに登場する。
 有り余る才能に恵まれながら、20歳で詩を捨て放浪の旅に身を投じたフランスの天才詩人アルチュール・ランボーの詩集をテーマに、ダンスでのみ表現し得る新たな世界を展開させる。上演は8月11日・12日・13日。

文学作品に向き合う、勅使川原の新たな創作

 ダンサー、振付家、演出家として多彩な作品を発表し続けている勅使川原三郎。これまでも文学、映画、絵画、また、それらの作品を世に送り出してきた偉大なアーティストたちをテーマとした創作に取り組んできた。
 文学に想を得た作品では、萩原朔太郎の詩集をテーマとした『月に吠える』(2017年8月初演)、『羅生門』(2021年7月初演)では芥川龍之介の世界を独自の視点でダンス作品にしてきた。なかでも詩と自身の創作について、勅使川原は「詩の精神的な、生き生きした力が、私を動かす、それが私にとってはダンス作品に変容するのです」と語る。

photo by Aya Sakaguchi

ランボーの詩集と響き合う、勅使川原のダンス

 10代後半でランボーの詩に出会ったという勅使川原が、いま、なぜランボーの詩をテーマにダンスを創作するのか──。勅使川原は、「どんな人間も生きる限り内側も外側も変化しつづけます。(中略)自分が勝手に変わる、どうしたって変わる、動きつづけ止まれない。そういう時、しっかり止まっている個体を確認しようとする。この場合、詩ですが、このどうしようもなく動かない物を動かそうとするのが、私にとってダンス作品なのです。自分の都合ではない対象物への尊重を基礎とします」と語るとともに、「私の詩に対する共感などたわいもないことで、自分の都合とは別の次元に作品を作る力があると考えます」と、自らの創作について明かしている。

photo by Akihito Abe
photo by Mariko Miura

勅使川原の芸術を体現する、才能あふれるダンサーたちが集結

 出演は勅使川原自身と、彼のアーティスティック・コラボレーターとして活躍する佐東利穂子、『羅生門』以来、勅使川原とのコラボレーションを重ねてきたアレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)、ヴェネツィア・ビエンナーレで開催された若手育成プロジェクトで見いだされた逸材、ハビエル・アラ・サウコ。5 月末、4 人はイタリア・フェニーチェ歌劇場で勅使川原が振付・演出を手がけたオラトリオ『時と悟りの勝利』(ヘンデル作曲)でも共演をしている。ダンサーたちについて「稽古とは、全てにおいて探ること。出演者が決まっていても、常に新たな出会いとしての稽古でなければなりません」と語る勅使川原。才能あふれるこの4人のダンサーでなければ表現し得ない特別なダンスが幕を開ける。

ヴェネツィアで初演したオラトリオ「時と悟りの勝利」(ヘンデル作曲)より
左からハビエル・アラ・サウコ、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ

公演概要

芸劇 dance 勅使川原三郎 新作ダンス公演
ランボー詩集 ―「地獄の季節」から「イリュミナシオン」へー

振付/演出/美術・照明・衣装デザイン/音楽構成:勅使川原三郎
アーティスティック・コラボレーター:佐東利穂子

出演:勅使川原三郎、佐東利穂子、アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ団)、ハビエル・アラ・サウコ

公演日時:2023 年 8 月 11 日(金)19:30、8 月 12 日(土)18:00、8 月 13 日(日)16:00
*開演 1 時間前にロビー・受付開始、30 分前に客席開場 *未就学児はご入場いただけません
【劇場】東京芸術劇場 プレイハウス
〒171-0021 東京都豊島区西池袋 1-8-1
[電話]03-5391-2111(代) [Web] https://www.geigeki.jp/
S 席 7,000 円 A 席 5,000 円 25 歳以下 4,000 円(S 席) 高校生以下 1,000 円(S 席)
*高校生以下チケットは東京芸術劇場ボックスオフィスのみ取扱い(枚数限定・要証明書)
*当日券は S,A 席のみの販売、KARAS Web サイトにて
(発表予定詳細及び問い合わせ:https://www.st-karas.com/rimbaud2023/)

RELATED ARTICLE