レポート 「谷川俊太郎 絵本★百貨展」トークイベント PLAY! MUSEUM

アート|2023.7.7
坂本裕子(アートライター)

谷川俊太郎絵本の魅力のひみつ

 東京・立川のPLAY! MUSEUMで開催中の「谷川俊太郎 絵本★百貨展」。
 詩人・谷川俊太郎(1931–)が、1960年代から現在までに制作してきた200冊にもおよぶ絵本から、選りすぐった約20冊を取り上げて紹介する展覧会は、絵本の原画にとどまらず、絵や言葉が動く映像や、朗読などの音声、そして絵本から飛び出した巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーションまで、谷川の絵本の世界を文字通り“体感”できる空間になっている。

「谷川俊太郎 絵本★百貨展」会場入り口

 詩人ならではの感性が紡ぐことばは、シンプルでありながら遊び感覚と奥深い示唆が込められて、読む者に世界への新しい認識をうながす。

 本展は“意味があるより、おもしろく。美しいより、おもしろく。”をスローガンに、ことばから感じること、絵が拡げる想像、そして音の楽しさを、自由に、そのままに受け取る喜びを追求した内容だ。
 それは、絵本に求められがちな「教訓」や「学び」を無化し、ナンセンスなこと、無意味であることを楽しみ、そこからそれぞれの世界への向かい方を拓いていくきっかけになるだろう。

 この展覧会の関連イベントとして、連続トークイベントが開催された。
 そのなかから、谷川と深い親交のある、子どもの本専門店メリーゴーランドの店主・増田喜昭と、本展を企画したキュレーター林綾野の対談「『谷川俊太郎のすごい絵本』を読む」をレポートする。

左から草刈大介氏(PLAY! プロデューサー)、増田喜昭氏(子どもの本専門店メリーゴーランド店主)、林綾野氏(本展企画キュレーター)

 閉館後、カタツムリの殻の奥に入り込むような会場で行われたトークイベントは、本展のために創られた新作の写真絵本『すきのあいうえお』のスクリーンをバックに、『えをかく』の絵を担当した長新太の作品を大きな絵巻にして壁いっぱいに張り巡らせた空間で、PLAY! プロデューサー・草刈大介のナビゲーションで始まった。

谷川俊太郎との出会い

 ――約50年にわたる谷川さんの絵本創作のなかで、70年代、80年代に創られた絵本はあまり現代には知られていないかと。それを知ってもらうことが本展の目的のひとつですが、三重県四日市市で子ども専門の書店を経営されている増田さんは、谷川さんとの親交が深く、彼の絵本が生まれてきたリアルな流れをご存じです。同時代における谷川さんの前衛性について、どれほどすごい本を創り続けてきたのか、お話しいただけたらと思います。まずは、増田さんと谷川さんのエピソードをお聞かせいただけますか。

増田:
 谷川俊太郎という名前を知ったのは、入学した四日市南高校の校歌でした。その後、大学に入ってすぐ、学生運動が激しい頃に古書店で詩集『二十億光年の孤独』(谷川のデビュー作)に出会いました。作者はその頃の僕と同じ18歳。衝撃でした。以来憧れて、谷川と名のつく本はすべて追いかけました。僕も詩作をしていたのですが、いま読むとすべて谷川さんのマネでしたね(笑)。彼の立っているところがあまりにもかけ離れていて、どういう人なんだろうと……。
 1976年に子どもの本屋を始めた時、面白いなと思った本の作者が何と谷川俊太郎だった。この人、絵本まで創っているのか! と。そして開店3周年の1979年に手紙を書いて、講演を依頼しました。
 その時に初めてご本人に出会ったんです。それから俊太郎さんと呼ばせてもらえる関係になりました。彼が大手書店からの講演依頼を断った際に、僕の店での実績が引き合いに出されると、僕(増田)は友達だから、と言われた。嬉しかったですね。
 それから毎年、彼の誕生月の12月には店に来て話をしてもらうようになりました。

トークイベント風景

谷川俊太郎絵本の受容

――林さんは増田さんにうかがいたいことはありますか?

林:
 谷川さんが200冊もの絵本を創られていることはあまりご存じない方も多いと思います。翻訳や著作など幅広く活躍されているなか、詩人としてのフィールドで絵本の創作はどうだったのでしょうか。

増田:
 例えば『なおみ』という作品は、出版された時、大ブーイングだったんです。気持ち悪い、怖いって。幼稚園で配られる月刊誌に掲載されていたので、家に持って帰ったらびっくりだったでしょう。もうひとつ『えをかく』もやはり月刊誌だったのだけれど、全く売れず返品の山で、僕は名古屋の倉庫まで車で取りに行った記憶がある。こんな傑作をなぜ放っておくんだと。いまやこの本は品切れで、現在は新たに再販されたものですね。当時は読みとれる大人がいなかった。谷川さんの詩を全部サインペンだけで絵にした長新太さんもすごいのだけれど、それは大人の見方で、子どもにはそんなことは関係ないのだと思います。ただ当時は、お説教が入ったり、心温まったり、と「役立つ」本が売れていたんです。
 もっと言うなら、『もこ もこもこ』は見向きもされなかった。こんなわけが分からないものが売れるわけがないと世間では言われていたのに、子どもは読んだ時、馬鹿笑いしたの。

林:
 実は、『なおみ』はお気に入りの1冊で、展覧会に出品したいと提案したのも私なのですが、増田さんはこれが刊行された時、どう思われましたか?
 人形作家・加藤子久美子さんによる日本人形と少女が一緒に過ごす、時を描いた絵本で、沢渡朔さん撮影の写真絵本なのですが、この人形が怖くて。谷川さんご本人も人形を見た時に圧倒されたとおっしゃっています。

増田:
 男子はね、こういう冷めた女性の顔は怖いんだと思います(笑)。でも、大好きという人をたくさん知っています。まるで人形を買ってもらったみたいに抱えて帰り、後年までこの本の話をする子たちがいました。

林:
 人形制作に4カ月をかけ、洋館を探して撮影をしたそうで、ある種の現代美術の作品ような絵本なのですが、始めと終わりに時計が配された以外は、時間がテーマであることは読み込まないと分からない。秘められたコンセプトの一冊で、本当に新しいことをやろうとしていたことを感じました。

増田:
 読者に問いかけるものを創りたかったのでしょうね。『あけるな』という本にも扉を開けると人形が座っているページがあるでしょう。何かを語らずにはいられない、引き出しの出し方っていうのかな。
 当時の保育園などでは、どうやって読んでいいのか分からなかったんでしょう。「絵本」とは子ども向けの絵のついたやさしい本という発想の人たちには理解がおよばなかった。だからものすごく受け入れる人と拒否する人に二分されていたんです。

林:
 『えをかく』は本展では、長さんの絵を全点2m幅の横断幕にして張り巡らせ、そこに谷川さんの朗読で本文を聴いてもらえるようにしたのですが、長さんがまさに今ここで描き上げた絵巻という迫力になっています。

『えをかく』展示風景から
会場の大きな部屋をぐるりと取り囲む「絵」は、またはじまりへと回帰する。

増田:
 すばらしいよね。僕もこの本大好きで、思わず手ぬぐい(ショップで販売)買っちゃったもん(笑)。

トークイベント風景

ふたりのおすすめベスト5

――今回、おふたりにはそれぞれ谷川絵本のベスト5を選んでいただきました。増田さんの1冊目を教えていただけますか。

増田:
 まずは『こっぷ』です。今回僕は5冊のうち、写真絵本を2冊選びました。初期の作品ですが、俊太郎さんがそもそも創った絵本は自身で撮影した写真絵本だったんです。写真って真実を写すから「写真」というんですが、そこに言葉をのせることで、どんな風にイメージが変えられるか、それをみごとにやってのけたのが俊太郎さんだった。
 この本は特に、デザイン、レイアウト、写真の撮り方、セリフがとても上手い。子どもにも分かる。そしてこれは「かがくのとも」シリーズなんです。科学って正しい、はっきりしたものと考えがちですが、とんでもない。あんな胡散臭いものはないと僕はずっと思ってきました。この「かがくのとも」は何をやったってかまわないんだと。おそらく俊太郎さんはそれをこっそり知っていたんだと思います。

『こっぷ』展示風景から

――では、林さんの1冊目は?

林:
 先にも挙げましたが、『なおみ』です。あまりにも分からなくて怖いので、わざわざこれをやろうとした理由が気になるんです。そして怖いのですが、誰しもが持っている心の風景というか、起きててほしくないこと、想像できないと同時に予想通りの悲痛な終わりが待っている。1ページ1ページが濃密で、ある意味でお買い得な(笑)一冊かな、と。

――ちなみに本展では『なおみ』の写真が展示されていますが、実際に沢渡さんが新たにプリントしてくださったものです。最初はご指示の通り絵本に合わせてこちらで用意したのですが、ご本人が絵本とは同じだけれどちょっと違うかも、と調整してくださったのです。

林:
 この本は写真に意識が行きがちですが、谷川さんのことばにも注目してほしいんです。会場では朗読も流していまして、それは谷川さんご指名の講談師・神田京子さんにお願いしています。

増田:
 なんか、特別なところに迷い込んで、時間も場所も異なる世界にいる感じがしますよね。写真の位置もとてもいいと思いました。

『なおみ』展示風景から

――増田さんの2冊目は?

増田:
 もうひとつの写真絵本『こやたちのひとりごと』です。中里和人君は三重県の写真家で、小屋を撮っています。
 永瀬清子だったと思うのですが、彼女の詩に我が身だけが私を映しているのではなく、曲がったスプーンもそこにあるタンスも私を映している、という作品があって、僕たちは、モノを見ていると思っているが、モノもこちらを見ているという感覚。それをこの絵本に感じた。小屋が僕に話しかけてくるんです。それにやられちゃって。子どもの時に雨が降ってきたりして、田んぼの中の小屋に入ると、怖いような、そこに人格みたいなものを感じていたんです。何気なく見ている小屋には実はものすごい“ひとけ”がある。これは俊太郎さんの絵本にも通ずると思います。
 谷川俊太郎のこういう視点に憧れたことないですか? どうやったらこういう眼でものが見られるか、って。

林:
 谷川さんに、この本はどういうおつもりで創ったのですか? とうかがうと、「え、僕、人のことなんて考えない。創りたいから創っただけ」とかおっしゃったりしますよね。

増田:
 子どもがどう読むかということをあまり気にせず、素直に思っていることを、丁寧にことばを選んで、声に出して読んで、それが気持ちよくビシッと収まる。

林:
 ご一緒に子どもたちのイベントとかもされていますよね。

増田:
 俊太郎さんは、いっさい指導しません。「こうした方がいい」とは絶対に言わない。「これは面白いと思わないかい?」と引き出すんだけれど、答えは出さない。一緒に考える。この姿勢はずっと持っていますね。
 だから絵描きさんたちも俊太郎さんと出会うことによって、一皮も二皮も剥けるんじゃないでしょうか。新しい視点で臨める。長さんもすごく楽しんだと思います。

林:
 私の2冊目が『えをかく』なんですが、長さんについては、谷川さんはさらっと描いちゃったみたいよ、とおっしゃっていますが、長さんは別のインタビューですごく大変だったと言ってます(笑)

増田:
 長新太さんはたいへんな努力家です。自宅には描き損じがたくさん捨てられている。眺めていたら「あげないよ! 失敗なんだから」と言われました(笑)
 いかにさらっと描いたように描くか。それだけの画力を持っている人です。

『えをかく』展示風景から
谷川本人の朗読とともに追いかけたい。

――谷川さんはご自身の作品に対する思い入れってお持ちなんですか?

増田:
 ないフリはしていますね(笑)
 とはいえ、すごく子どもが喜びました、と言うだけで、谷川俊太郎としての主張はないと思います。

――長さんのお話が出ましたが、90歳を超えた谷川さんの創作を振り返ると、ずっと同時代のフロントランナーと一緒に作品を創っていらっしゃいます。例えば最新作『ここはおうち』のjunaidaさんなどは、谷川さんと本を創るということに対して、すごく力んで何かを引き出されていくという感じを得られたそうです。それは各時代の人たちも同じだと思われますか?

増田:
 ご存じかと思いますが、初期の頃はずっと和田誠とのコラボレーションでたくさん創っていて、僕らにとってはそれがイメージとして定着していたんです。ところが近ごろ若い人を含め、いろんな人とどんどん組んでいく。そのバイタリティというか、容量の大きさ。谷川俊太郎は年を経て、だんだんと「何色にも染まらないぞ、誰の絵にも決めないぞ、いろんな解釈と表現をしてくれればいい」ということを堂々と宣言している。
 僕らみたいにずっと見ていると、時には抵抗があることもあるけれど、逆に僕らの保守的なイメージを覆していく。
 谷川さんは展覧会が好きで、本人も見る者も楽しんでいる。もっともっと日常的に谷川さんの詩に向き合って、楽しんでほしい。そうしたら実験を繰り返している気持ちが分かると思います。

『ここはおうち』展示風景から

林:
 前衛的ということで私が挙げる次の1冊が『ままです すきです すてきです』です。この絵は、前衛アーティストとして80年代、90年代に活躍されていたタイガー立石さんなのですが、こちらはリアルタイムでは増田さんは……?

増田:
 大好きです! 毎晩読んでました。何が面白いのかなあ(笑)、意表を突いた面白さはあるんだけど……。

林:
 わけが分からないけど面白いですよね。1986年刊行なのですが、裏表紙にエリマキトカゲが描いてあるんです。日本でエリマキトカゲが流行ったのがこの2年前のCMがきっかでした。いまから見ると当時の時代の塊みたいに感じたのです。

トークイベント風景
ベスト5を紹介する林綾野氏

増田:
 俊太郎さんは「決まったようにものを見ないでよ」とメッセージしているのだと思います。
 和田誠さんが絵を描いた『あな』が僕は大好きなんですけど、怠惰な不良少年のような子どもは「これは僕の穴だ」と宣言しているんです。そして裏表紙では埋められた穴が描かれる。この和田さんの仕掛けも含めて、なんてことのない穴を掘って埋めるだけの物語なんです。俊太郎さんはこういうゼロからゼロに戻る話が好きなんです。その間にいろんな人が好き勝手なことをしていくという……。そのなかのちょっとした描写、ほんとに短い言葉で豊かに表現されている。
 ついでにもう1冊を挙げますが、『わたし』。
 これは教科書に載っているんですが、そうすると先生たちは解釈させるんですよ。でもこんなに子どもたちに繰り返し、彼らの背景に合わせて柔軟に変えて読んだ本はありません。傑作だと思います。

林:
 絵本を書く時の谷川さんの年齢意識って……。

増田:
 俊太郎さんは年輪みたいに各年代を全部持っているんです。何歳にでも、何にでもなれる。そういうニュートラルなスイッチをいつも持っているんだと思います。

――そんな谷川さんには遠くおよばないながら、本展は「百貨展」と名づけました。これは空間デザインを担当した建築家・手塚貴晴さんがぱっと閃いたものです。

増田:
 よいタイトルだと思います。それと絵本を動かしたというのがこの展覧会の目玉でしょう。1回動かして立体にしてふたたび絵本に戻る。ステキな体験です。
 『もこ もこもこ』なんて俊太郎さんの声も入っているしね。

――『もこ もこもこ』の映像展示は、最初は絵本を読んでいくような速度を予定していたのですが、最終的に映像の「間」は長くなりました。長すぎとも感じるのですが、この場に入り、ちらと見て去っていく動きの時間をインターバルの間隔に設定しました。賛否両論あると思いますが、その「間」の、敢えて意味のない長さを重視したんです。

増田:
 長いよね、1回目は寝ちゃうんだけど(笑)、2回目に見るとすごくいいんですよ。「にょきっ」って。
 なかなかない空間ですね。日本にはこういうところがとても少ない。もっと作ってほしいですね。アメリカでは各州に体験型のチルドレン・ミュージアムがある。ブルックリン・チルドレン・ミュージアムなんて、食べるものに関わる場に本物のネズミが出る。子どもは大騒ぎ。その瞬間のためにバックヤードで40匹ネズミを飼育しているんです。子どもを一瞬はっとさせる、それだけのために本気で準備している。ここはそれに通じるものを感じます。

『もこ もこもこ』展示風景から
絵本が谷川の朗読とともにアニメーションに!

林:
 ふたりとも挙げた絵本が『ぴよぴよ』のシリーズです。

増田:
 これは、元々はソノシートが付いていて、その音声を流しながら絵本を見る。字と音で体験する、ものすごく時代を先取りした絵本で、目から鱗でした。シリーズで4冊セットだった。全然売れなかったんだけどね。

林:
 展覧会では、柱のところにひよこと音の文字を配しています。この「オノマトペ」絵本は、絵がないと音が成り立たない本で、言葉と絵が合わさった作品を生み出してきた谷川さんのもっともシンプルな体現と言えるでしょう。単純明快なんですけど、深い。

増田:
 それぞれの場面に音を入れるとこうなるのか、というひとつの実験。小さい子のために絵を描いた堀内誠一さんが本当にみごとに応えましたね。偉大な絵本だと思います。色も形も文章もいい。

『ぴよぴよ』展示風景から
会場各所の柱に出現!

林:
 最後に私が挙げるのは『かないくん』です。これは漫画家・松本大洋さんの絵で、谷川さんがご経験された友達の死をきっかけに、お祖父さんの死という、ふたつの物語が同時に進む「メタテキストとでもいえるもので、僕はそれが好きなんだ」と谷川さんがおっしゃっている作品ですが、メタテキストという言葉を聞かれたことはありますか……?

増田:
 はい。多分に芝居や映画っぽい手法なんですが、僕が好きなシーンは、スキーをする女の子のページで、全然そのシーンとは異なる言葉が重ねられて、バラバラに書(描)かれていながらものすごく共鳴している。“きらめき”や、“訪れること”ってとても偶発的なんだよね。目で見えるものと、天からの意識みたいなものとの齟齬をこんなにきれいに表していて……。

林:
 原画も素晴らしいですよね。いまお話を聞いていてそんな風に読み取れるんだと。

谷川俊太郎と向き合うことの意味

増田:
 いろいろな人それぞれの深読みでいいと思う。みんな同じような眼で見ていても、読んだり聞いたりする文字やことばからだってイマジネーションはさまざま。でも俊太郎さんのことばに僕らはソワソワするんです。
 とてつもない人です。でも僕たちは絵から感じればいいと思います。俊太郎さんの絵本の書評ではなかなか絵について的確な批評がない。色や形、細部にわたって書いてもらうと、絵の見方ももっと変わると思います。心奪われる絵との出会いをどこかで体験してほしい。

 最後にこれだけは言っておきたいです。
 『とおるがとおる』で、とおるが白い紙を欲しがり、壁に貼ってじっと見ていると母親がそんなに白いものを見ていたら目を悪くしますよ、という。とおるは、でも白にいろんなものが見えてくるんだと返すんです。これが絵を描くことのもとですよ。
 こういうものを創っていく。谷川俊太郎は、いつも信号を発しているんです。
 谷川俊太郎ってすごいな、ではなくて、この詩を見いだした自分がすごい、と変えていってほしいと思います。

 この後、谷川俊太郎から、公式朗読認定者第2号(第1号は河合隼雄)とされている増田による、詩集『モーツァルトを聴く人』から「つまり きみは」の朗読がプレゼントされる。
 ジョークや楽しいエピソード満載のトークの時間はあっという間に過ぎていった。

トークイベント風景 谷川の詩を朗読する増田氏

展覧会概要

「谷川俊太郎 絵本★百貨展」 PLAY! MUSEUM

PLAY! MUSEUM(東京・立川)
会  期: 2023年4月12日(水)~7月9日(日)
開館時間:10:00‐18:00 ※入館は閉館の30分前まで
休 館 日:原則無休
観 覧 料:一般1,800円、大学生1,200円、高校生 1,000円、中・小学生 600円
未就学児は無料
障害者手帳提示者とその介護者(1名まで)は半額
問 合 せ:042-518-9625

美術館サイト https://play2020.jp/article/shuntaro-tanikawa/ 


※この後、各地巡回予定

展覧会図録

『谷川俊太郎 絵本★百貨典』
定価4,400円(税込)ブルーシープ刊

本展覧会公式図録。1956年に当時20代の谷川が自費出版した『絵本』から、2023年の最新作『ここはおうち』まで展覧会では紹介しきれなかった絵本を含む、全タイトル172作を網羅し、過去の貴重な対談も可能な限り発掘して所収された、谷川俊太郎の軌跡の集大成となっている。まさにバイブルと言える1冊。

RELATED ARTICLE