「縄文 小川忠博写真展」秋田県立近代美術館

アート|2023.5.17

 40年の間に訪れた場所は2000か所以上、撮影した資料は約20,000点。どの考古学者よりもはるかに多くの縄文土器や土偶を手に取り、間近で見てきたという写真家・小川忠博氏の展覧会が秋田県立近代美術館で開催中だ。

展覧会会場での小川忠博氏

映える、縄文

 昨年、県内の縄文資料と小川氏の写真90点をコラボレーションして展示した、山梨県立美術館の「縄文―JOMON―展」の盛況ぶりも記憶に新しいが、今回の秋田県立近代美術館の展覧会では、小川氏の作品により焦点を当てた構成。「映える、縄文」をテーマに、実物以上の存在感を放つ200点以上の写真作品が展示されている。

 土偶の写真が多いのも今回の展示の特徴のひとつかもしれない。叫んでいるような姿の奈良県観音寺本馬遺跡の土偶、ヨーロッパのヴィーナス像を思わせる愛知県今朝平遺跡の土偶など、ユニークで迫力のある土偶写真の数々が並ぶ。

奈良県観音寺本馬遺跡出土の土偶
会場の展示風景

 また、顔と手が一体化したような東福寺村上出土の土偶、アスファルトで目を表現した塚ノ下遺跡の土偶、そして今回の展覧会の顔でもある白坂遺跡の微笑みの岩偶といった秋田県ゆかりの作品も展示される。これらは、実物の土偶も合わせて鑑賞することができるので、見比べてみるのも面白いだろう。

左から東福寺村上で出土した土偶、塚ノ下遺跡出土の土偶
白坂遺跡出土の岩偶

 展示の最後には、縄文土器の展開写真が展示される。小型スリットカメラで縄文土器をぐるっと撮影するという小川氏独自の手法で生まれた写真で、土器外周の文様が一枚の絵のように表現されているものだ。

山梨県桂野遺跡出土の土器の展開写真

 会場内の写真撮影も、SNSの投稿もOK。現地で自ら撮影しながら、「映える、縄文」を体感してほしい。

「縄文 小川忠博写真展」秋田県立美術館

会期:2023年4月22日(土)~6月30日(金) 会期中無休
会場:秋田県立近代美術館
開館時間:9:30 ~ 17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般1,000円、高・大学生800円、中学生以下無料
※障害者手帳またはミライロIDを提示の方とその介添1名は半額


展覧会ホームページ

『土偶美術館』

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