ローザス、アトラファイブ『和声と創意の試み』日本初演
日本・ベルギー外交関係樹立160周年を迎えた今年、ベルギーの世界的振付家でありローザスを率いるアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルが、ラドワン・ムリジガとの共作、ローザス、アトラファイブ『和声と創意の試み』を日本初演。ローザスとしては7年ぶりの待望の来日で、初日には秋篠宮家の次女佳子さまがご鑑賞されるなど、大きな注目のなか、彩の国さいたま芸術劇場で幕を開けた。
1980年の初振付作品『アッシュ』発表以降、世界のコンテンポラリーダンスシーンを牽引するとともに、1995年にはパフォーミング・アーツの教育機関P.A.R.T.S.を設立し、後進の育成に力を注いできたケースマイケル。その長年の功績が認められ、昨年高松宮殿下記念世界文化賞演劇・映像部門賞を贈られている。一方、ムリジガはモロッコ出身で、P.A.R.T.S.で学んだ後、2019年にアトラファイブを設立し気鋭の振付家として活躍。本作『和声と創意の試み』は2020年の『3IRD5 @ W9RK』に続くケースマイケルとムリジガの協働作品となり、2024年5月11日にブリュッセルのローザス・パフォーマンス・スペースで世界初演を迎えている。



『四季』を背景に現代社会への警鐘を描く
本作でケースマイケルとムリジガが着目したのが、ヴィヴァルディの『四季』。4つの季節と自然の営み、そこに対する警鐘が、音楽と身体の考察をもとに描かれていく。
飾り気のないフラットなステージに、蛍光灯が何かの警告のようにちかちかと発光する。そこへ1人の男がふらりとあらわれ、無音の中で踊りだす。ソロは久しく続き、やがて3人の男がやってくる。白線が引かれたステージはバスケットコートをイメージさせ、気負いなく動く4人の男たちは試合前の身体ならしをしているかのよう。動きは次第に集約され、くるくると旋回し、8の字を描き、勢いは増していく。男たちは20代、30代、40代と年齢もさまざまなら、スロベニア、フランス、セルビア、ブラジルと出自もさまざま。ブレイクダンス、タップ、競技ダンスと、ダンスの背景も身体性もまた違い、それぞれの要素がステップに反映される。足並みをそろえ、同じステップを刻んでも均一にはならず、その差違がまた味わい深い。



『四季』を題材としながらも、作中の多くは無音のシーンで構成される。静けさのなか、猟銃、犬の遠吠え、馬のいななきと、ヴィヴァルディの『四季』をダンサーたちがその身体をもって暗示する。
女性ダンサー4人が踊るケースマイケルの初期の代表作『ローザス・ダンス・ローザス(Rosas danst Rosas)』(1983)に示されるミニマリズムや女性性とは対照的に、4人の男性ダンサーはフィジカルに徹し、野性味をもって大胆にステップを踏む。90分間ものあいだ舞台上に在り続け、汗を拭ってはステップに戻る。圧倒的なスタミナと生命力をもって、疾走感をもって駆けていく。
四季は巡り、男がソロを再び踊る。ステージには詩が流れ、客席に問いを投げかける。気候変動を含む作品のメッセージは大きく、ムリジガとの協働で得たケースマイケルの新たなフェーズをここに示した。
(6月20日 彩の国さいたま芸術劇場)


「SWAN―白鳥―」初の舞台化決定!!
2026年9月4日~9日
今年、連載50周年を迎える『SWAN―白鳥―』が9月に新国立劇場で初の舞台化!
新国立劇場バレエ団からは、主人公・聖真澄役に木村優里、柴山紗帆、憧れの先輩京極小夜子役に米沢唯ほか、渡邊峻郁、中島瑞生も出演! セルゲイエフ先生役に元新国立劇場の厚地康雄が登場するのも注目です。そのほか大人気の飯島望未、塩谷綾菜、レジェンドの中村祥子、倉永美沙、佐久間奈緒など豪華バレエダンサーと朗読が交差する新感覚の舞台にご期待ください。
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