ウクライナ国立バレエ来日公演『ドン・キホーテ』

ウクライナ国立バレエ『雪の女王』『ドン・キホーテ』~注目の菅井円加とプリンシパルの競演!

カルチャー|2026.2.5
文=小野寺悦子(編集・ライター)、写真:Hidemi Seto ©KORANSHA

 キーウの名門バレエ団・ウクライナ国立バレエが、この冬来日。年末年始の恒例として楽しみに待つファンも多く、今回は全国計18公演をツアーで巡っている。

『雪の女王』カテリーナ・ミクルーハ、オレクサンドル・オメリチェンコ

 『雪の女王』はウクライナ国立バレエのオリジナル作。2016年に当時芸術監督だったアニコ・レフヴィアシヴィリにより創作され、2022年の改訂を経て、『くるみ割り人形』にかわる冬の風物詩としてキーウで愛されてきた。日本では2023年に初演を果たし、今回2年ぶりの再演を迎えている。

アナスタシア・シェフチェンコ

 物語はアンデルセン童話をもとに、雪の女王にとらわれたカイと、彼を取り戻そうとする幼なじみのゲルダの冒険が描かれる。
 この日のゲルダはカテリーナ・ミクルーハ。バレエ学校時代から注目され、現在ファースト・ソリストながらすでに数々の作品で大役を任されてきた期待の若手だ。愛らしくまだどこかあどけない面持ちは、純真無垢なゲルダそのもの。物語を担うゲルダは見せ場も多いが、ひとときも疲れをみせず、全幕を全力で踊り抜く。舞台を率いる佇まいも堂に入り、さらなる成長と勢いを感じさせた。

カテリーナ・ミクルーハ
カテリーナ・ミクルーハ、オレクサンドル・オメリチェンコ
アナスタシア・シェフチェンコ

 雪の女王に扮したプリンシパルのアナスタシア・シェフチェンコも適役で、すらりとしたスタイルが舞台に映え美しい。凜とした姿は冷え冷えとして、高潔な気配を纏う。カイに扮するオレクサンドル・オメリチェンコは安定した力量で、雪の女王の魔法が解けた瞬間にみせるふわりとした表情が印象的。
 耳馴染みの良い音楽のコラージュに、ワイルドな山賊、カラスたちのユーモラスな振りと、ゲルダの行く先々で繰り広げられるシーンはいろとりどりで楽しく、存分に堪能させられた。
(2025年12月21日 東京国際フォーラム ホールA)

『雪の女王』
『ドン・キホーテ』菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

 年明けは『ドン・キホーテ』を上演。主演にボストン・バレエプリンシパル菅井円加と、元ハンブルク・バレエ団のアレクサンドル・トルーシュを迎えている。
 菅井といえば、昨年の新春公演『ジゼル』でポワントのままパンシェをするという超絶技巧を披露し、バレエ界に一つの伝説を打ち立てたのは記憶に新しいところ。また菅井が日本で『ドン・キホーテ』全幕に主演するのは初めてで、観客の期待値は大きく、会場の熱はいつにも増して高い。
 
 菅井のキトリは何とも鮮やかで、登場したとたん全ての視線を攫っていく。姉御肌で、景気よく、トルーシュ扮するバジルとの掛け合いも絶妙だ。目の覚めるようなジャンプに精緻なライン、強靱な芯を感じさせる回転と、世界水準のクオリティをこれでもかと見せつける。エモーショナルで、舞台の空気を自身のものにしてしまう。惜しみない熱量の発露に、トップを担う覚悟と矜持が伝わってくる。

 トルーシュのバジルはやんちゃで朗らか。ハンブルク・バレエ団時代に菅井と最も多く踊ったのも『ドン・キホーテ』で、息はぴったり。ひたと視線をあわせ、菅井の豪快なダイブも難なく受け止める。

菅井円加
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

 脇を固めるキャラクターには、プリンシパルをはじめウクライナ国立バレエが誇るトップダンサーが総出演。エスパーダを踊ったプリンシパルのニキータ・スハルコフは貫禄をみせ、街の踊り子のアナスタシア・シェフチェンコは妖艶に、森の女王のイローナ・クラフチェンコは可憐な舞いで、各々個性を発揮する。充足感溢れるステージで、新年のはじまりを華やかに飾った。
(2026年1月3日 東京国際フォーラム ホールA)

ニキータ・スハルコフ
イローナ・クラフチェンコ
カテリーナ・ミクルーハ
菅井円加、アレクサンドル・トルーシュ

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