この夏は、パリ・オペラ座バレエ団が、バレエ団単位からグループ公演、エトワールたちの客演、そしてバレエ学校までさまざまな形で日本に上陸し、暑さを吹き飛ばす熱い舞台を繰り広げてくれた。
公演を見られなかった方々にも朗報。「パリ・オペラ座 IN シネマ 2025」で好評だった華麗な『眠れる森の美女』の映像が、まもなく9月14日、15日にNHK-BSで放映される。どうぞお見逃しなく!


牧阿佐美バレヱ団『ジゼル』にバティストーニが客演
2024年にエトワールになったばかりのブルーエン・バティストーニ。6月には、牧阿佐美バレヱ団の『ジゼル』に、プルミエ・ダンスールのアンドレア・サーリと共に客演し、全幕もので堂々エトワールのお披露目を果たした。
(青山季可&清瀧千晴組については2025年7月7日付既報)
バティストーニにとって『ジゼル』には縁がある。まだスジェの時代、2022年、定年を迎えたエトワールのアリス・ルナヴァンのアデュー公演『ジゼル』で、第2幕の途中で怪我をしたルナヴァンが降板、急遽代役に。この時のアルブレヒトはマチュー・ガニオ。エトワールに任命されたのは、それから2年後の昨年3月のことだった。


パリ・オペラ座の伝統が息づく『ジゼル』
バティストーニは、美貌、プロポーション、テクニックと天から才能を授かったかのようなバレリーナ。舞台に登場した瞬間から、立ち姿だけでロマンティック・バレエの世界に観客を引き込むオーラがある。狂乱の場も衝動のままにじわじわと悲劇へと突き進む。全く足音がしない柔らかなステップは絶品で、とりわけ第2幕でウィリとなってから、きめ細かいパ・ド・ブレで袖に入る瞬間は、まさに幽玄そのもの。この技術は、これからも大きな武器となるに違いない。
サーリと言えば、2024年のオペラ座バレエ団来日公演の『マノン』でレスコーを演じたのが記憶に新しい。誠実な役作りで、第2幕の終盤、アントルシャ・シスをほぼ最後まで続けたのは見事だった。
オペラ座期待の星である二人の旬の舞台が見られたのは幸いだった。(6月14、15日 東京文化会館)



「パリ・オペラ座 IN シネマ 2025」4月収録の『眠れる森の美女』を上映
日本でも人気急上昇のバティストーニの華麗な舞が、映像でお目見えした。8月に、「パリ・オペラ座 IN シネマ 2025」で上映されて、満員御礼が出るほどの人気を呼んだ『眠れる森の美女』。映像は、2025年4月にパリで収録された最新のもの。
バティストーニは、輝くような美貌と華麗なテクニックで、オーロラ姫を演じ、美の化身と言ってよい。デジレ王子のギヨーム・ディオップは、高度なテクニックがちりばめられたヌレエフ版のヴァリエーションをスマートに踊りこなすなど、優雅なテクニシャン。
この新進エトワール・ペアのほか、脇役に至るまで、注目の逸材が揃っているので、隅々まで目が離せない。





第2の主役、青い鳥のパ・ド・ドゥを踊るのは、次期エトワール最有力候補のイネス・マッキントッシュと新星シェール・ワグマンで、期待に違わぬ白熱の共演を繰り広げている。日本出身のパティントン・エリザベス・正子や日本にルーツを持つクララ・ムーセーニュが、第1幕のヴァリエーション(通常は妖精のパート)で活躍しているのも見逃せない。装置・衣裳含め絢爛豪華なヌレエフ版を心ゆくまで堪能できた。
(「パリ・オペラ座 IN シネマ 2025」 8月22日〜31日)*【放送予定】プレミアムシアター『眠りの森の美女』9月14日23:20~ NHK-BSP4K、9月15日0:05〜NHK-BS


※次回、オペラ『蝶々夫人』9月12日~全国映画館で上映予定

おすすめの本
『まいあMaiaーSWAN act Ⅱー完全版』第1巻
*絶賛発売中!
有吉京子 著(平凡社刊)
定価=1430円(10%税込)
詳細はこちら
夢の舞台は、パリ・オペラ座――。
完全版、誕生!
世界最高峰のパリ・オペラ座バレエ団に憧れるまいあは、夢の第一歩となる、名門パリ・オペラ座バレエ学校を受験する――。バレエ漫画の金字塔『SWANー白鳥ー』の主人公、真澄とレオンの娘・まいあが活躍する次世代ストーリー。連載開始から20年愛されたロングセラー全7巻をもとに、新たに描きおろし番外編、カラーイラストを加えて完全版(全4巻)として生まれ変わります!
[豪華特典]有吉先生最新作、描きおろし番外編7P
巻頭カラー&まいあ扉絵コレクション
*名作バレエの【ポストカード付き!! 】

おすすめの本
『SWAN―白鳥―愛蔵版』第16巻
有吉京子 著(平凡社刊)
定価=1870円(10%税込)
詳細はこちら
『SWAN―白鳥―』の続編として2014年から描かれた『SWAN ドイツ編』後半を収録。尊敬する天才振付家ジョン・ノイマイヤーの「オテロ」のオーディションを経て、デズデモーナ役を射止めた真澄。レオンと喜び合うも束の間、体調に異変を感じて訪れた病院で告げられたのは――? 1976年にスタートしたバレエ漫画の金字塔『SWAN―白鳥―』、遂に感動のフィナーレへ!!
●SWAN全16巻完結記念企画:描きおろし番外編「引退公演を迎えた日」23P収録! 真の最終回ともいえる有吉先生のメッセージのこもった力作です。他にも、新規着色ページ、イラストも収録の贅沢な一冊。ぜひ、ご覧ください!