ジョージア国立バレエ『くるみ割り人形』 Photo:Khatia Jijeishvili

ニーナ・アナニアシヴィリ率いる ジョージア国立バレエ、12年ぶり再来日!

カルチャー|2024.10.21
文=小野寺悦子(編集・ライター) 写真提供=光藍社

日本初披露! ジョージア国立バレエ版『くるみ割り人形』(全2幕)

 ジョージアが誇る伝説のプリマ、ニーナ・アナニアシヴィリ率いるジョージア国立バレエが、この冬12年ぶりに再来日。総勢65名のダンサー・スタッフを引き連れ、全国19公演の一大ツアーを行う。開幕に先駆け記者会見が開かれ、ニーナとダンサーのニノ・サマダシヴィリが登壇。来日公演への意気込みを語った。

(左から)ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使、ニノ・サマダシヴィリ、ニーナ・アナニアシヴィリ

 来日公演の演目は『くるみ割り人形』(全2幕)。アレクセイ・ファジェーチェフ、ニーナ・アナニアシヴィリ振付/演出によるジョージア国立バレエのオリジナル版で、今回日本初演を迎える。

 ニーナ「今回私たちが上演する『くるみ割り人形』はみなさんご存じの版とは違い、ジョージアが舞台になっています。物語自体は従来の『くるみ割り人形』ですが、主役はクララではなくバーバラというジョージアの名前の少女で、ジョージアの医者一家の物語という設定です。作中はジョージアの文化をあちこちに取り入れていて、例えば最初にジョージアの民族舞踊を披露します。強調したいのが舞台美術で、ジョージアの著名な芸術家であるデヴィッド・ポピアシヴィリが手描きでつくりあげてくれました。子どもたちをおとぎ話の世界に連れて行くような作品になっていて、それをこのうつくしいダンサーが踊ってくれます」

夏の来日ガラ公演にて、『くるみ割り人形』を踊るニノPhoto:Hidemi Seto©2024 KORANSHA Inc.

 主演を務めるのは、プリンシパルダンサーのニノ・サマダシヴィリ。今年の夏も日本で開催されたガラ公演に出演し注目を集めた。

 ニノ「日本に来るのが大好きです。日本の観客のみなさんの前で踊ることができるのは、私にとって大きな喜びです。ジョージア国立バレエ版の『くるみ割り人形』の金平糖の精の踊りが大好き。踊るのが楽しくて仕方がないけれど、同時にとても難しい踊りですね。音楽に対して非常に正確さが求められるので、細心の注意を払って踊らなければなりません」

ニノ・サマダシヴィリ
夏の来日ガラ公演にて、『くるみ割り人形』を踊るニノPhoto:Hidemi Seto©2024 KORANSHA Inc.

 2004年にジョージア国立バレエの芸術監督に就任したニーナ。今年は芸術監督20周年にあたり、今回のツアーはその記念公演でもある。

 ニーナ「この20年、本当にあっという間でしたね。ジョージア国立バレエの劇場は1年中満員で、それだけお客様が入っているのは喜ばしいことだと思い、これまで手がけてきた仕事の成果を見ることができうれしく思っています。ジョージア国立バレエの特徴は、クラシックはもちろんのこと、それ以外のジャンルのレパートリーも多く持っていて、多様性があるところ。ダンサーもクラシックだけではなく、さまざまなジャンルの踊りができる。それは何よりうれしいことです。そしてもう一つ、世界に進出できているということも、私たちのバレエ団の特徴だと思います。実際海外ツアーがたくさんあり、この8月にはロンドンで2週間のツアーを行いました。今とても才能ある若いダンサーたちが活躍しています。12月の公演でぜひみなさんとお目にかかれることを楽しみにしています」

Photo:Khatia Jijeishvili
ニーナ・アナニアシヴィリ

[プロフィール]ニーナ・アナニアシヴィリ
ジョージアの首都トビリシ生まれ。10歳でジョージア国立トビリシ・バレエ学校に入学。その後、ボリショイ・バレエ学校へ編入し、1981年にボリショイ・バレエへ入団後、2004年までプリンシパルとして数々の作品で主演。その他にもアメリカン・バレエ・シアターなど世界中の名門バレエ団へゲスト出演してきた世界的プリマ・バレリーナの一人。2004年からジョージア国立バレエの芸術監督、およびジョージア国立トビリシ・バレエ学校の芸術監督を務めている。2017年、日本とジョージアの文化交流の促進及びバレエ界の発展に寄与した功績が認められ、旭日中綬章を受章。ジョージア(旧グルジア)人民芸術家、ロシア連邦人民芸術家。

[公演情報]
ジョージア国立バレエ『くるみ割り人形』は、2024年12月5日〜、福島、秋田、埼玉、神奈川、東京ほか全国19公演開催。
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