『窓ぎわのトットちゃん』の「電車の教室」が塗り直されてリニューアル!
松川村・安曇野ちひろ公園でお出迎え

カルチャー|2023.11.12
竹内清乃(エディター)

トモエ学園の電車の教室に会える「トットちゃん広場」

黒柳徹子さんの自伝的物語で国民的ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』の続編が42年ぶりに刊行されて話題になっています。新刊『続 窓ぎわのトットちゃん』の表紙と挿絵は、前著と同じく、画家・いわさきちひろの愛らしい作品です。
みなさんは黒柳さんが、「ちひろ美術館」(東京と安曇野の2館)の館長をつとめているのをご存知でしょうか?

『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社刊) 表紙はいわさきちひろの絵「立てひざの少年」。 同作品は安曇野ちひろ美術館でピエゾグラフで展示中(11/30まで)。

長野県松川村の安曇野ちひろ公園の「トットちゃん広場」に、トットちゃんの物語でおなじみのトモエ学園の電車の教室が再現されていて、この夏に塗り直されたピカピカの姿でお出迎えしています。
トットちゃんが小学1年生のときに転校したトモエ学園は、自由にのびのびと子どもたちの個性を伸ばす教育方針で、敷地内に置かれた電車の車両が教室というユニークな小学校兼幼稚園でした。
「トットちゃん広場」の2両の電車の中では、トットちゃんが学んだトモエ学園の教室と、トットちゃんの物語や絵本を閲覧できる図書室があって、ストーリーの感動がよみがえってきます。

トットちゃん広場にある電車の教室と図書館。

広場の片隅に、物語に出てくる汲み取りトイレも再現されています。トットちゃんが大切にしていた財布をトイレの穴に落としてしまい、ひしゃくでくみ出していると、小林先生が通りかかって「終わったら、みんな、もどしとけよ」と親しげに声をかけてくれたエピソードがありますが、ここでは穴の中に財布らしきものが……? ぜひ見つけてみてください。

再現されたトモエ学園のトイレ(昔は穴に蓋をかぶせた汲み取り式でした)。

トットちゃん広場には「トモエの講堂」もあり、当時のこどもたちの様子を写真パネルで展示しているほか、学園で使われていたものと同様の机や椅子やピアノも置かれています。
また、隣接する安曇野ちひろ美術館内にある「子どもの展示室(トットちゃんの部屋)」にも電車の教室の一部が再現されているので、どちらも訪れてトットちゃんの世界を体現してみてはいかがでしょう。

「トモエの講堂」の内部。上方にトモエ学園での子どもたちの様子が写真パネルで展示され、当時使われていたフタ付きの木製机と椅子も置かれています。

安曇野ちひろ美術館の初山滋展で夢のようなひとときを

現在、安曇野ちひろ美術館では「没後50年 初山滋展 見果てぬ夢」を開催中。
童画家の初山滋による、みずみずしい作品が一堂に展示されて、「おとぎの世界」が繰り広げられています。幻想的で美しいファンタジーを描いた作品や、モダンで装飾的な絵本の原画の数々に魅入ってしまう夢のような時間を過ごせます。
初山滋の没後50年を記念して貴重な作品や初公開作品もあり、この機会は見逃せません。

猿と兎姿の少女(仮題) 1920年頃 個人蔵

そして、最新情報として「窓ぎわのトットちゃん」が映画化され、12月8日に公開予定です。「初めての映画化に私も胸が踊っています」と黒柳さんのコメントも。
この秋、北アルプスの山並みが広がる松川村を訪れて、トットちゃんの物語を思い出しながら散策すれば気分爽快な休日を過ごせます。

インフォメーション

●松川村・安曇野ちひろ公園「トットちゃん広場」
長野県北安曇郡松川村3358-97
電話 0261-85-8822
開館時間 9:00~17:00
休館日 水曜日(祝祭日・GW・7/20~8/31開館)、冬期休館12/1~2月末日 
※開館日、開館時間は変更の場合があるので、最新情報は施設にお問い合わせください。
入館料 無料
chihiro-park.org

●安曇野ちひろ美術館
長野県北安曇郡松川村西原3358-24
(安曇野ちひろ公園に隣接)
電話 0261-62-0772
開館時間 10:00~17:00(3月は10:00~16:00、GW・8月は9:00~17:00)
休館日 水曜日(祝休日は開館、翌平日休館)
※GW・8月は無休、冬期休館12/1~2月末日、展示替えのための臨時休館あり
入館料 大人900円 18歳以下は無料
chihiro.jp

おすすめの本

『初山滋 見果てぬ夢』 定価2,530円(本体2,300円+税)
ちひろ美術館 編
童画の黄金期に活躍した初山滋。没後50年を記念し、その人生と代表作の数々のほか、初公開の資料も含めて画業を回顧する。同名の展覧会の公式図録。

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