煌めくエトワールから初登場のプリンシパルまで。 バレエ団の枠を超え華やかに!
この秋、2年ぶりの開催を迎えた「スーパースター・ガラ」。芸術監督を務めるパトリック・ド・バナのもと、世界の名門バレエ団で活躍するトップダンサーが集い、競演を繰り広げた。
第一部は、元パリ・オペラ座バレエ団のミリアム・ウルド=ブラームと、アスタナ国立オペラ・バレエ劇場プリンシパルのバクティヤール・アダムザンの『薔薇の精』からスタート。
ミリアムといえば、今年5月に定年でパリ・オペラ座バレエ団を去ったばかり。彼女の長いキャリアの中でも、『薔薇の精』は初めての演目だという。愛らしく可憐なミリアムにぴったりの作品で、ロマンティック・バレエダンサーの真価を発揮してみせた。
パートナーのアダムザンは、今回初お目見え。「ニジンスキーの再来」との呼び声も高いダンサーで、堂々たる体躯とダイナミックな踊りが印象的だ。
ミリアムとバクティヤールの二人は第二部で『ジゼル』を披露。『ジゼル』はミリアムがオペラ座のアデューで踊った思い入れある作品でもある。本公演で上演されたのは第2幕よりパ・ド・ドゥで、ミリアムの楚々とした儚いジゼルで魅了した。
パリ・オペラ座バレエ団からはもう一人、エトワールのドロテ・ジルベールが参加。第一部ではマニュエル・ルグリ版『海賊』よりアダージョを、第二部では『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥを踊っている。
パートナーを務めたのは英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのリース・クラークで、英国とフランスの二大バレエ団のトップダンサー競演というのも興味深い。オーロラ姫を踊るドロテは気品に満ち煌めくばかりで、リースはノーブルな持ち味でドロテに寄り添う。ドロテはミリアムと同世代で、アデューを間近に控えた今となっては貴重なステージとなった。
東京バレエ団ゲスト・プリンシパルの上野水香は、元ベルリン国立バレエ団プリンシパルのアレハンドロ・ヴィレルスとペアを組み、『リベルタンゴ』と『ドン・キホーテ』の二作に出演。『リベルタンゴ』は高岸直樹の振付作で、上野はピアソラの楽曲にのせ妖艶な女性性を放ち、男女の駆け引きを大胆に繰り広げていく。一方『ドン・キホーテ』は第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥを踊り、技量の見せ場もふんだんに会場を大いに盛り上げていた。
そのほか、注目を集めたのがボリショイ・バレエ団プリンシパルのスヴェトラーナ・ザハロワの『瀕死の白鳥』。ラストは本公演芸術監督のパトリック・ド・バナと共に『Rain before it Falls』を踊り、フィナーレへ繋いだ。
(10月4日 東京文化会館大ホール)
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