2022年パリのクリスマス・シーズンを 2つの劇場で華やかに彩った、オペラ座バレエ
パリ・オペラ座バレエは毎年末、ガルニエ宮(パレ・ガルニエ)とオペラ・バスティーユ両劇場で公演が行われる。2022年は、ガルニエ宮では12月2日〜31日に、ピナ・バウシュ振付『コンタクトホーフ』が21回、オペラ・バスティーユでは12月10日〜1月1日に、ルドルフ・ヌレエフ振付『白鳥の湖』が16回上演された。
ピナ・バウシュ振付『コンタクトホーフ』 ©Julien Benhamou/Opéra national de Paris
トップ画面:『白鳥の湖』 ©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
『コンタクトホーフ』リハーサル写真より、ジェルマン・ルーヴェ ©Julien Benhamou/Opéra national de Paris
2〜3年おきにプログラムされる『白鳥の湖』だが、常にチケットはソールドアウトの超人気演目。今シリーズ中に、1984年12月の初演以来の上演回数が300回を超えた。
多くのエトワールが主役カップルに配役されていたが、ケガなどが相次ぎ、初日を前に、女性はリュドミラ・パリエロが、男性はユーゴ・マルシャン、マチアス・エイマン、マチュー・ガニオが次々と降板。男性エトワールはポール・マルクだけという状況になってしまった。
©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
ジークフリート王子役で4人がデビュー! フレッシュな配役で『白鳥の湖』を楽しむ
初日を飾ったのは、ヴァランティーヌ・コラサンテとポール・マルク、そしてこちらも降板かつ退団も発表されたフランソワ・アリュに代わりウォルフガング&ロットバルトに配役された、ジェレミー=ルー・ケール。
©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
第2配役は、技術も演技も卓越したドロテ・ジルベールが円熟のオデット&オディールで圧倒的存在感をしめし、この2年来、代役でヌレエフ大役をいくつも踊った若手ホープのギヨーム・ディオップが、初々しくこのカンパニーらしいエレガンスも備えたジークフリート王子を好演した。
©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
続いて、ミリアム・ウルド=ブラームが自身最後のオデット&オディールをマルク・モローと熱演。彼女の最高のパートナーであるマチアスが降板したのが悔やまれる。
©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
そして、一夜限りの特別配役として、エロイーズ・ブルドンとパブロ・レガサ。エロイーズは、2015年スジュ時代に大抜擢でこの役を経験済み。当時同様、白鳥として完璧な腕の動きを披露し、観客を魅了した。
ミリアムは自身の最終日を当日に降板し、エロイーズが再び、今度はマルクと共に舞台に立ったのち、最後の配役は、アマンディーヌ・アルビッソンとジェレミー=ルー・ケールが演じた。
©Yonathan Kellerman/Opéra national de Paris
日本でも人気のエトワール、ジェルマンは 『コンタクトホーフ』で新境地
男性エトワールたちの降板で、2016年末にジークフリートを踊ってエトワールになったジェルマン・ルーヴェが代役に入ることが期待されたが、彼は、『コンタクトホーフ』への参加を熱望し、ガルニエ宮で連日出演。唯一のエトワールとして26人からなる舞台を率いてバウシュのバレエ哲学を披露した。
©Julien Benhamou/Opéra national de Paris
おすすめの本
●『パリ・オペラ座バレエ』
アイヴァ・ゲスト 著 鈴木晶 訳 (平凡社)
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